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マンボウの採餌戦略

  • マンボウに行動記録計と光源付きカメラ、体温計を装着して餌を食べる様子と体温の変化を調べた。

  • 主に深度100~200mでクダクラゲ類を食べていることを発見した。

  • 深場に留まっている間に下がった体温を海面の温かい水で効率よく回復することが明らかになった。

  • 体温を回復するのにかかる時間を短縮し、餌場に留まる時間を最大にする採餌戦略をとっていることが示唆された。

  • 大きなマンボウほど冷えにくく餌場に長く留まることができるので、マンボウが大きくなる理由と考えられる。

マンボウの体温低下抑止能力

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  • かごしま水族館では屋外でマンボウを飼育しており、マンボウにとって水温が高くなった頃に海へと放流する。

  • そのマンボウに行動記録計とビデオカメラ、体温計を装着してより温かい環境での体温の変化を調べた。

  • 鉢クラゲ類をかじって食べる様子が記録された。

  • 暑い海面においてもマンボウの体温の上昇する速さは上記の体温回復の時と同等だった。

  • ​一方、マンボウの体温の低下する速さは上記の深場に留まる間よりずっと速かった。

  • 体温を回復するのにかかる時間を短縮するのではなく、深場での体温の低下を遅らせることで餌場に滞在できる時間を長くしていることが示唆された。

調査の裏話

マンボウの食性シフト

  • マンボウの成長による食性の変化を調べるために、消化管内容物、安定同位体比、行動の面から比較を行った。

  • 消化管内容物から小さなマンボウは甲殻類、大きなマンボウはクラゲ類を食べることがわかった。

  • 安定同位体比は、炭素、窒素ともに大きなマンボウほど高くなり、クラゲ類は小さなマンボウよりも高かった。

  • 小さなマンボウでは海底付近を泳ぐ行動が見られ、大きなマンボウは季節によって異なる水柱内を泳ぎ回るような行動が見られた。

  • マンボウは成長に伴って、底生の甲殻類食から浮遊性のクラゲ食へと変化することが示唆された。

ジンベエザメの体温の安定性

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  • 美ら海水族館と共同で、ジンベエザメに行動記録計と体温計を装着して、放流後の行動と体温の変化を調べた。

  • ジンベエザメの体温は海面水温と同程度であり、外温性であることがわかった。鉛直移動によって水温が大きく変化してもジンベエザメの体温はあまり変わらなかった。

  • 体重1g未満の魚から今回のジンベエザメまで幅広い体サイズの魚の体温の変わりやすさを比較すると、体重が重いほど体温が変わりにくい関係が得られた。

  • ジンベエザメは身体が大きいことにより、外温性でありながら体温を保ったまま、極低温の深海まで潜ることができると考えられる。

深海ザメは浮く

  • ハワイ大学と共同で、深海に住むカグラザメとコギクザメに行動記録計を装着して放流した。

  • 一般のサメが潜降するときより浮上するときに尾びれを活発に振っているのに対し、深海ザメは逆になっていた。

  • サメにはうきぶくろがないため泳ぎ続けないと沈んでしまうとされているが、深海ザメは浮くくらいの浮力があり、その浮力に対応した行動をとっていた。

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